シネマノート

シネマノート

シネマノートへようこそ。シネマノートは、映画ネタの雑文や情報を書いております。映画に興味のある方、ちょろっと読んでいって、感想などくださいな。

« 今年の映画その2 | メイン | シネマ徒然もリニューアルです。 »

1998年01月17日

人とのつながりって?『ハル』

関連カテゴリ: シネマ徒然

 パソコン通信って、不思議な世界ですよね。インターネットもそうですけれど、実際に会ったことの無い人と知り合うことが出来て、いろいろな話が出来て、一度も顔を見たことが無いのに相談を聞いてもらったり。いつのまにか、実生活と同じくらい大切な人間関係が出来ていたり。

 森田芳光監督の『ハル』も、そんな経験をする人々の話です。普通のサラリーマンの主人公「ハル」、デパートで働くOL「ほし」。パソコン通信の映画フォーラムでたまたま出会う二人。「ほし」は男のフリをして(いわゆるネットオナベですね)通信をしています。ゆっくりと、淡々と二人の周辺をカメラは映していきます。
 やがて、メールのやり取りをはじめる二人、一線をひいた会話から、とりとめのない世間話、お互いの悩みの相談、積み重ねられていく時間、メール。ゆっくりと、時間が流れていきます。お互いの顔を知らず。やがて、二人は…。ってなもんです。
 ストーリーは例によって書きません。まずは、観て下さい。パソコン通信に縁のなかった人が、この映画を見て興味を持つこともあるかもしれませんね。ま、通信を実際にやっている人にとっては、こんないいことばかりじゃない、と言う風に思う人もいるかも知れませんけれど。
 通信の雰囲気を結構うまく描いています。ディスプレイに表示される通信の文章を、ディスプレイ画面に表示という形を取らず、あえて、そうですね、例えて言うなら、昔の無声映画時代の台詞のように、画面を暗転させて文章を見せます。あの、僕らには見慣れたメッセージ「未読はありません」、これがうまく使われています。これを見ると、結構さみしいんですよね。なんか、自分だけ世の中から取り残されたようで。

 二人以外にも、様々な人々が画面の中で生きています。主人公達と関わっていきながら。みんな、不器用で。誰でも、寂しいんですよね。寂しくて、人とのつながりが欲しくて、パソコン通信をしてみたり。なんだか、共感というか、そんなものを感じました。

 主演の「ハル」を演じる内野聖陽(なんて読むの?)さんは、この前までやっていたドラマ「ラブ・ジェネレーション」に総一郎役で出ていた人です。木村拓也のお兄さん役ですね。この映画では、気のいい優しい青年役を演じています。
 「ほし」を演じる深津絵里さんは、今放送中のドラマ『きらきらひかる』で、先輩女医に憧れる、新人の女医さん役で出ています。
 他にも、ミュージシャンが役者で出ていたりします。
 森田芳光監督は、なんと言っても『家族ゲーム』でしょう。家庭教師役の松田優作をはじめ、役者さんはいい人ばかりだったし、展開の「間」に、なんとも言えないものがありました。そういえば、音楽をまったく使っていなかったかな? 『ハル』でもそうですが、「音」が映画をよく助けてくれています。そうだ、肝心なものを忘れていました。『失楽園』、あれも氏の監督です。僕は観ていませんが…
 『ハル』の主題歌は The BOOM。なんとなく、映画に合っていて好きです。

 派手な映画でもないし、げらげら笑う映画でもないし、思想を振りかざして熱弁を振るう映画でもないけど、小さく優しく囁きかけてくれる映画です。

森田芳光監督作品の一覧を書こうと思ったんですが、あいにく手元に完全な資料がないので、すんませんです。あぁ、ピアシネマクラブの最新版、欲しいよぉ。

『家族ゲーム』(1983/日本)

『ハル』(1996/日本)

映画『ハル』については、素敵なページを見つけましたので、こちらにどうぞ。
映画チャット(追記:サイトが無くなっていました)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.ideabox.jp/mt/mt-tb.cgi/10

コメント

コメントしてください




保存しますか?