シネマノート

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シネマノートへようこそ。シネマノートは、映画ネタの雑文や情報を書いております。映画に興味のある方、ちょろっと読んでいって、感想などくださいな。

2005年07月18日

『宇宙戦争』

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スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の映画『宇宙戦争』を観てきました。
いや、これは面白い! 序盤から緊張の連続です。そしてドラマもしっかりとしているし。観て損はないでしょう。

物語は「抵抗のしようがない侵略者に対して、問題を抱える一つの家族がただ生存し続けるための闘い」を描きます。思い出したのは、M・ナイト・シャラマン監督の『サイン』という映画。これも同じように、SFという形を借りながら、描いているのは家族の絆というものでした。だけど出来映えは『宇宙戦争』がずっと上でしょう。

子役のダコタ・ファニング、なんか普通に子供で、ちょっと子供嫌いのケのあるボクは「あーうぜぇうるせぇ、わめくな!」とか思ってしまいました。うまいんでしょうねぇ。マセた女の子はこんなもんなんでしょう。

うーん、公開中の映画なので、あんまり詳しく書けないです。面白いので、ぜひぜひご覧ください。

宇宙戦争 ( WAR OF THE WORLDS )
このサイト、入り口が分かりにくいですが、右下の方に「SKIP」ボタンがあります。

さぁ次はなんとか時間を作って『スター・ウォーズ』を観なければ。

2005年05月04日

『ハイランダー』ケレン味たっぷりのソードアクション

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 人には、一つや二つ、記憶に残っている映画というものがあります。そして、その映画について熱く語ると「はぁ、そうですか…」なんていうユルい反応しか返ってこなくて悲しいときがありますよね。この映画『ハイランダー』がそうなんですよ。
 主人公は不老不死の超人。…あ、なんか臭いました? パンクロックをバックに主人公が日本刀を振り回します。…え? 臭います? B級映画の臭いが。えぇそうですよ! B級映画ですよ! ニューヨークの高層ビルの谷間で、ロングコートをはためかせ、懐から引き抜いたむき身の日本刀を振りかざし、主人公のコナーは戦います。どうです、このとりあわせ! かっこいいですよー!
 物語の核になるのは、不死身であるが故の悲哀。たとえ愛する人がいたとしても、彼はその人の最期を見届けなければならない。たくさんの永遠の別れを経験するのです。これがまたかっこいいのです!

 映画はシリーズ化され、4本制作されました。その後、TVシリーズへと展開。現在も日本では深夜に放送されています。しかしそこには、オリジナルにあったテイストはなく、「なんかすごい強いヤツが活躍する探偵風のドラマ」になってしまいました。残念なことです。

 主演はクリストファー・ランバート。渋い顔の男です。しかし見ようによってはニヤけた男です。ショーン・コネリーも登場します。
 まぁ、観てくださいよ。

highlander.jpg
ハイランダー/悪魔の戦士
製作年度:1986年
製作国・地域:イギリス
上映時間:117分

2005年04月03日

『アトランティス(ATLANTIS)』〜海洋生物のフィルム・ファンタジー

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 『アトランティス』冒頭、街の雑踏。街のささやき、喧騒が闇に響きます。やがてそれは遠のき、 私は青い空から、海面へと滑るように近づいていきます。不意に私を取り巻く「音」が質を変え、光輝く白い泡とともに、私は海中から空を見下ろし、そして、深い深い海へと潜っていきます。そこに広がるのは、めくるめく、青い海の世界。どう言葉を並べてもそれらは陳腐になる、美しい世界。優しく包まれる感覚。浮遊感。映像と、それに見事にマッチした音楽が、観るものを別世界へと連れていってくれます。人間は、一切出てきません。 そこは、楽園です。海の生き物たちの、楽園です。

 監督リュック・ベッソンは数年間にわたり、世界中の海の姿、そこに生きるものたちの姿を映像に納めてくれました。その視線は対象への愛に満ち、やさしい。

 海の中では、人間は無力です。太古、海から生まれたはずの私たちは、その適応力を無くし、陸に上り、文明を築き上げました。人類の発展という目的の元、結果として自然を破壊し、我がもののように扱う私たちも、海の中ではとても無力な存在です。海中で私たちが活動するには、重いタンクを背負い、海中で唯一私の命を繋ぐレギュレーターを口にくわえ、タンクからの空気を頼りにするしかありません。そこでは何ができるわけでもなく、ただ、大自然に包まれて、存在させてもらうことしかできません。海水の流れる音、自身の呼吸音、海洋生物の生きている世界。映画では、ただ、ただ、海の中の世界が展開されます。

 少し古い映画ですが、そんなの関係ありません。興味がない、と言う人には無理強いはしません。だけど、優しい気持ちになりたいとき、そんな気持ちを思い出したいとき、ぜひ見ていただきたい一本です。

atlantis_dvd.jpg

リュック・ベッソン(Luc Besson)監督作品
『最後から2番目の男』(1982/フランス)
『最後の戦い』(1983/フランス)
『サブウェイ』(1984/フランス)
『グレート・ブルー』(1988/フランス)
『グラン・ブルー グレート・ブルー完全版』(1988/フランス)
『ニキータ』(1990/フランス)
『アトランティス』(1991/フランス)
『レオン』(1994/アメリカ)
『レオン完全版』(1994/アメリカ、フランス)
『マリン・ブルーの瞳』(1996/フランス)
『フィフス・エレメント』(1997/アメリカ、フランス)
『ジャンヌ・ダルク』(1999/フランス)

このところは、ずっと監督作が無く、脚本やプロデュース業ばかりです。さみしいなあ。

2005年03月06日

北斗の拳、アニメ映画化!?

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 名作、特に30前後の人にとっては思い入れの深いあの『北斗の拳』が、2006年3月公開で映画化だって!? へ? なんで今? もしかして流行ってるの? で、更にだね、驚いたのがケンシロウの声優が阿部寛さんになるって!? なんで神谷明さんじゃないの!? んで更に、レイナ役が柴咲コウさん!? キャラデザインは北条司さん!? 新しくシナリオを作るらしい。2008年春までに毎年一本公開して、3本つくるって。

 なんていうかさ、心配がいろいろだよこれは。今、このキャストで3本もつくるのって、一体どういうファンをターゲットにしてるんだろう?? わからん。当たるのか? コケるのか? コケるんちゃうん?

 冷静になって考えてみよう。まず、声優。神谷明さん、まー、これはねぇ、彼もまもなく60歳(1946年生まれ)、ケンシロウの絶叫をやったら血管切れるんじゃないか? 以前どこかで聞いた話だと、オリジナル制作当時でさえ、「アータタタタタタタタァッ」ってのは全部生で声を採ったら酸欠で倒れるから録音した声を繋いでいたっていうし。しかたいかなぁ、とも思う。んで、阿部さん、これはいいかも。次に柴咲さん。うーん、どうなんだろ。なんか、アニメで俳優さんやタレントさんが声をやるってのは、本人の顔がちらつくからあんまり好きじゃないな。

 ニュースによると、シナリオは「原作者の武論尊さん、原哲夫さんの協力を得て」新しいシナリオを作るとか。なんか、ビミョーな…。あんまり「積極的」な関わり方はしないのかなぁ。なにより、オリジナル以上のストーリーを作る事ってできるの?

 何より心配なのは、今、作ったとして、需要があるのだろうか、ということ。昔のファンを狙うならムリをしてでもオリジナルに忠実な方がいいと思うんだけど。

 わからん。

2005年03月03日

痩せる役者、太る監督『マシニスト(The Machinist)』

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 1年間365日、眠っていないという極限状態に陥った機械工のトレバー。彼が体験する悪夢のような世界。人間の最長不眠時間は公式記録で11日間。もしも、あなたが一年間、眠れなかったら? えー、嫌です。
 映画『マシニスト(The Machinist)』はそんなエゲツナイ状況から始まります。ヒドイです。

 役者さんって大変です。何がヒドイって、主演のクリスチャン・ベイル(Christian Bale)は不眠症の男を演じるため、約30キロもの減量をしたのです。写真を見ると、…これは病的に痩せてます。コワイです。

 減量する役者さんがいるなら増量する役者さんもいます。肉体派のシルベスタ・スタローンもやってます。『コップランド(1997)』で、落ちぶれた中年刑事を演じるため、20キロ増量。当時彼は会う人会う人に「みっともなくてすまない、これは役作りのためなんだよ」と言い続けていたとか。たくましい肉体を売りにしていたスタローンにとって、役のためとはいえ、耐えられないものがあったのでしょう。

 名優ロバート・デ・ニーロは、役作りのために演じる役によって体重を増減させることでも有名。「カメレオン俳優」の代名詞。 『血まみれギャング・ママ(1970)』では麻薬中毒者役のために10キロ以上体重を落とし、『タクシー・ドライバー(1976)』では不眠症のタクシー・ドライバー役のために15キロ減量。『ラスト・タイクーン(1976)』では「妻の死から立ち直れずにいるやせ細った54キロの」男になるために19キロ減量。『レイジング・ブル(1980)』では実在の元ボクサー役のために、撮影の進行に合わせて体重を増加させて、なんと約30キロ増量。『アンタッチャブル(1987)』ではマフィアのアル・カポネを演じるために、約5週間で14キロ増量、おまけに本物のアル・カポネそっくりに毎日毛を抜いて撮影していたとか。その役作りに対する姿勢は“デ・ニーロ・アプローチ”なる言葉まで生み出したのです。もぅ、驚嘆。

 女優だってやります。レニー・ゼルウィガーは『ブリジット・ジョーンズの日記(2001)』でカロリー摂取気味なロンドンのキャリア・ウーマンを演じるため、ジャンクフードで6キロも増量(10キロとも20キロともいわれてます)。すごいのはその後『シカゴ(2002)』のダンサー役のためダイエットして体をつくり、その後の『ブリジット・ジョーンズの日記2(2004)』では再び太ってブリジット・ジョーンズになりきったのです。その過酷な生活からか、その後、彼女は「仕事が生活のすべてを支配してしまって、やりたいことができない」と1年間の休養宣言をした模様。そりゃそうですよねぇ。

 日本にもいますよ。博識デブタレントの伊集院光は番組を持ってたラジオ局の周波数に合わせて体重を124.2キロにして、次に行った局ではまた周波数に合わせるべきだと95.4キロにしたとか。そして同じ時期に彼は故伊丹十三監督の映画に出演が決まったのだけど、監督は太った伊集院が欲しかったんで彼の役は「太った刑事」。監督は「太れ」命令。仕方ないので彼は再び高速大増量。彼の太り待ちで映画のクランク・インが遅れたらしい。バカです。だけど好きです。だけど自分でやるのはイヤです。

 監督だってやってます。「ファーストフードを1日3食1ヶ月間食べ続けると、人間どうなる?」というテーマの元、自らの体でそれを3食×1ヶ月実践して映像におさめたドキュメンタリー映画『スーパーサイズ・ミー(2004)』の監督モーガン・スパーロック(Morgan Spurlock)は14キロも体重が増加。しまいには医師からドクターストップが。

 人間、生きていくためには食べることが必要です。衣食住というくらいですから。一日三食、きちんと食べる。これ、大切。だけど、一日3食×365日×人生80年=87600食。そんなふうに考えると、むー、忙しいときなんて一食くらい適当でもいいかな、なんて、思ったりもしますね。しっかし、ボクらはたくさん食べてるモンなんですね。
 そして衣食住以上に大切なのが、やっぱり睡眠。人生80年としたら、365回×人生80年=29200回。こんなに寝てるかい? 『マシニスト(The Machinist)』の主人公はそのうちの365回を失っています。そんな彼は…あぁっ、いよいよ映画の話に入るというところで、文章量がっ。前置きが長すぎたっ!
 というわけで、彼の末路は映画をご覧ください。

マシニスト(The Machinist)』
製作年度:2004年
製作国・地域:スペイン/アメリカ
上映時間:102分
監督:ブラッド・アンダーソン
脚本:スコット・コーサー
音楽:ロケ・バニョス
出演:クリスチャン・ベイル 、ジェニファー・ジェイソン・リー 、アイタナ・サンチェス=ギヨン 、ジョン・シャリアン 、マイケル・アイアンサイド

スーパーサイズミー(SUPER SIZE ME ?)』
製作年度:2004年
製作国・地域:アメリカ
上映時間:98分
監督:モーガン・スパーロック
製作総指揮:J・R・モーリー 、ヘザー・M・ウィンターズ
脚本:モーガン・スパーロック
出演:モーガン・スパーロック

まだ映画自体を観てないから、実は書けることがなかったりする。

2005年02月22日

第77回アカデミー賞

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 今年もアカデミー賞の授賞式が2月28日(現地時間2月27日)おこなわれます。始まりは1927年。別名“オスカー”と呼ばれますが、『1930年代の初めにアカデミー協会で働いていた女子事務員マーガレット・ヘリックが受賞者に渡される黄金の像を見て、「私のおじのオスカーにそっくりね」と言ったことが』始まりだとか(Yahoo!ムービーより)。そんなええ加減な話あるかいな!

 今年のノミネートをみてみると、…えぇ、ごめんなさい、どの作品も観ていません。映画のあらすじから予想すると、賞ウケしそうなのは『Ray/レイ』でしょうか。
 マーティン・スコセッシが未だ受賞したことが無いのが意外。とって欲しいなぁ。
 ドン・チードルはたくさんの映画でイイ味出していて、好きな俳優の一人です。最近だと『オーシャンズ11』『オーシャンズ12』ですか。ジョニー・デップも意外に受賞してないんですね。まぁ彼は作品の選び方がマニアックだから分かる気もしますが。レオナルド・ディカプリオは『タイタニック』以来、なんか微妙ですね。演技重視のドラマを選んでがんばってるみたいだけど、なんかパッとしない…。ジェイミー・フォックスが意外に受賞するのかも。
 ケイト・ウィンスレットも『タイタニック』以降なんかスカッとしません。今回は受賞が期待されているとか。
 どうしてこの人が受賞していないの?と思う一番はモーガン・フリーマンです。助演を受賞していないんですよ? 変だよね。
 ナタリー・ポートマンはストリッパー役でノミネート。『スタ・ウォーズ』シリーズのような大作に出ると、その後が大変だといいます。このチョイスも、偏った印象がつくのを避けるためなのかな。

 受賞傾向はいつもなんだか納得できないことも多いです。作品自体の出来じゃなくて、業界の人間関係が影響を持っているともききますが。
 とはいえ、ボク自身は、賞で一番獲った獲ってないってのは関係なく、自分が観て好きだと思ったものが好きで、それが自分にとっての一番ですが。

ノミネート
●作品賞
・アビエイター
・ネバーランド
・ミリオン・ダラー・ベイビー
・Ray/レイ
・サイドウェイ
●監督賞
・クリント・イーストウッド
・テイラー・ハックフォード
・マイク・リー
・アレクサンダー・ペイン
・マーティン・スコセッシ
●主演男優賞
・ドン・チードル
・ジョニー・デップ
・レオナルド・ディカプリオ
・クリント・イーストウッド
・ジェイミー・フォックス
●主演女優賞
・アネット・ベニング
・カタリナ・サンディノ・モレノ
・イメルダ・スタウントン
・ヒラリー・スワンク
・ケイト・ウィンスレット
●助演男優賞
・アラン・アルダ
・トーマス・ヘイデン・チャーチ
・ジェイミー・フォックス
・モーガン・フリーマン
・クライヴ・オーウェン
●助演女優賞
・ケイト・ブランシェット
・ローラ・リニー
・ヴァージニア・マドセン
・ソフィー・オコネドー
・ナタリー・ポートマン

2001年11月04日

リアリティとイマジネーション『ファイナル・ファンタジー(FINAL FANTASY)』

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 あの『ファイナル・ファンタジー』が映画になる! 制作はスクウェア! 監督は坂口博信氏、そう、ゲームと同じ監督だ!
 
 このニュースを聞いたとき、「ついに作るのか!」というのが最初の感想。近年のゲーム『ファイナル・ファンタジー』シリーズにおける、コンピュータ・グラフィックスのクオリティ向上には目を見張るものがあった。それはもちろんコンピュータとソフトウェアのスペック向上に負うところが大きいのであるが、スクウェアの作り出す映像はそれに加えて、しっかりとした映像理論…というと偉そうですね、非常に“映画的”な手法を多用して映像を魅せてくれるものだった。ボクの中で、その延長線上には当然のように“映画製作”があった。実は、とても大きな期待をもって公開日を待っていたのである。
 しかし、雑誌記事や予告編など、小出しにされる情報を見聞きするにつれ、頭の中を疑問符が飛び交いはじめた。ハリウッドのスタッフが入るという。脚本は、SFでヒットを飛ばしているハリウッド人だ。プロデューサーは、あの『ストリート・ファイター』を作ってしまった日本人。そして中身は、どうもファンタジーではなく、SFらしい。
 
 過去にハリウッドが制作に絡んだ、ゲームが原作の映画はいくつかある。しかし『スーパーマリオ』はマリオの原色衣装が浮きまくりの上に『スーパーマリオ』とは名ばかりのストーリー、『ストリート・ファイター』は元キャラのイメージに囚われるあまりコスプレの域を出ず、『モータル・コンバット』は…あ、まだ観てないや、コレ。
 ゲームの実写化は、コミックやアニメの実写化と同じく、なかなか難しいようで。中途半端に元映像があり、ファンの思い入れが強い。なによりゲームの場合、ストーリーはプレイヤー自身が作るもの。一本道のストーリーを辿っていく映画とは大きく違う。見せ方もまた然り。
 熱烈なマニアを獲得している人気ゲーム『トゥーム・レイダー』の映画化でもこれは同じで、薄っぺらなアクション映画にしかなっていない。原作のおもしろさは、使い古されたギミックとストーリーでありながら、それを最新のリアルタイムCG技術でプレイヤーに疑似体験させたことにあると思う。それはゲームだからこその面白さではないか。映画化にあたっては、脚本家が10人変わり、紆余曲折の末ようやく完成をみたという話。それにしてはイマイチな物語。格好いいんだけど、格好いいシチュエーションや“スタイル”を寄せ集めただけで、格好いいMTV以外のものには成り得ていない。どうせなら中途半端なドラマは切り捨てて、『ハムナプトラ』シリーズのように潔くアクションアドベンチャーにすれば良かったのに。
 
 そして『ファイナル・ファンタジー』である。物語は原作のゲームとは全く関係なく、原作のもつ死生観のみをテーマとして引き継いでいる。そして実写ではなくフルCG。すべてをコンピュータで創り出した。その映像は、観るものに妙な違和感を与え、今までになかった感覚を呼び起こす。それは例えば、スーパーリアリズム絵画を観ているようなものである。しかし残念ながら、本作品ではそれが“心地よい違和感”までいっていない。映像からくる居心地の悪さを感じる場面が多い。
 都市建築物、銃器など、無機物のクオリティは素晴らしい。人間の造形も素晴らしい。髪の毛一本一本まで作られている。だけど、肌の質感が、これがどうにも。なんていうのか、マネキン人形にファンデーションを振りかけたような感じ? やっぱり「作り物だなぁ」と感じてしまう。顔が堅そう。表情に乏しい場面が多い。さらに、目線が明後日の方向を向いてしまっている。
 それに対して、人物の動き、モーションはとても滑らか。これはモーションキャプチャーを使ったからで、役者の動きをコンピュータに取り込んで使っているから。そう、モーション、それに“声”は、やっぱり本物の人間を使っているのである。

 世には、“バーチャルキャラクター”“バーチャルアイドル”なるものがたくさん誕生している。CGで細部まで作り上げられた、架空のアイドル、文字通り“偶像”である。見た目はCGで作っていても、それらを映像として使う際には、声が必要になる。どれだけCGで作っていても、結局そこで生身の人間が必要になってしまう。ボクなどは、その時点で興味は声優にいってしまう。その声優さんはどんな顔だろう。どんな性格だろう。現時点の技術では、コンピュータだけで世界のすべてを創り出すことはできない。だったら、はじめから実写でやって、本物の俳優を使って作ればよかったのに。本作品は原作とは全く別モノなんだから、ファンの思い入れを気にすることも無いわけだし。
 映像表現にしても、「すげぇ、これはCGならではだ!」というシーンが、記憶に残っていない。本作を実写SFX映画と仮定して、他のSFX映画と比較すると、作品中での“特殊効果”の使われ方が、実写映画での特殊効果の使われ方と大差がない。フルCGならではという映像が記憶に残っていない。言い換えれば、現在の高度で緻密なVFX・CGIを使えば、実写映画でも実写らしからぬ映像を創ることはできる。だったら実写でやればいい。
 現に、声優およびモーションアクターとして参加している役者は、声優ではなくそれぞれが一級品の役者。個性的な人々が揃っている。本当に素晴らしい役者が揃っている。もったいない。
 
 では、なぜフルCGで創る必要性があったのか。
 これはスクウェア自身が認めているように、映画製作で培ったノウハウをゲーム制作にフィードバックさせるという目的があったようである。そのためには、ハリウッドのスタッフではなく、個々では優秀な日本や世界のCGクリエイターを集めて作る必要があった。ここで蓄積されたものをゲームのクオリティ向上に活用したい、と。
 またもう一つ、CGクリエイターのレベルを押し上げることで、映画でのCG表現のクオリティ向上も目指しているのではないか。日本の映画製作現場は貧乏だという。実際、宣伝の「総制作費○○!」という金額がハリウッドとはケタが違う。貧乏のため、ハリウッドと比べると残念ながらCGに予算をかけることが出来ず、クオリティも低い。スクウェアは本作品のために、ハワイのホノルルにCG専門スタジオを立ち上げた。今後は、映像制作に役立てて欲しいとも言っている(坂口氏)。
 なにより、近い将来にハリウッドが作るであろうリアルフルCG映画よりも先に、日本資本でそれに挑戦したということ、これが一番、意味のあることだったといえる。
 ヒネリの無いストーリー、今一歩の映像であるけれども、パイオニアとしての役割は十分果たしたと思う。リアルフルCGへの大きな一歩を踏み出し、映画の歴史上、記念碑的な作品となったことは間違いない。
 同時に、これからスクウェアが制作する映画に期待したい…と思ったら、映画事業から撤退?
 
 スクウェアは、本作品が興行面で失敗、その赤字を理由に、映画事業から撤退するようである。今後はゲーム制作に専念するとか。…ちょっと待って欲しい。どうして一本制作しただけで終わらせてしまうのか。一本目で利益を出せるとでも思っていたのか。ゲーム業界の雄ではあっても、映画業界では“ぺーぺー”ではないか。映画製作はそんなに簡単に利益を上げられるものじゃないと、素人の私でも想像できる。スクウェアには、是非、次も映画を作って欲しい。二本目、三本目が観たい。映画のために集まったスタッフがもったいない。
 映画製作が無理でも、ホノルルのCG制作会社を、ILMやデジタルドメインと並ぶ、日本を代表するVFX制作スタジオとして成長させて欲しい。
 
 長々と書いてきたけど、これが言いたかった。スクウェア制作の、二本目のリアルフルCGムービーが観た

映画的:多くのゲームがまだ“ゲーム”の範疇でイベントシーンの映像を作っていた頃に、スクウェアは非常に挑戦的な姿勢でCG映像に取り組んでいたと感じる。
 
シリーズ:…と言いながら実はシリーズのほとんどは、かじった程度しかやっていなかったりする。
 
映画化:映画なら人間をしっかり描いた作品がたくさんある。ゲームにももちろんあるんだけど、そういうゲームはFFのようなメガヒットにならず、映画化の話も出てこない。
 
トゥーム・レイダー:だけど、このゲームはやったこと無いんだよね。ちょい無責任発言。
 
スーパーリアリズム:超現実主義。1970前後から登場した、絵画の表現手法の一つで、写実主義の極限といえる。緻密な描写により、写真と同じかそれ以上の現実感を鑑賞者に与える。観たものは、それが絵であることを認識しつつも一方であたかもそこに、現実にそれらの世界がそこに存在するかのように感じる。人間の脳の映像認識能力を逆用することで、鑑賞者に奇妙な既視感を与える。
 
表情:制作者は、「日本人は表情が少ないから、それに合わせて表情を抑えめで作った」とか。おいおい。
 
声:将来的にはこれもコンピュータで生成できる時代がくるのだろうか。

SFX:特撮のこと。Special effects(特殊効果)の発音がそう聞こえるからこう略すらしい。
 
モーションアクター:という呼び方があるのかどうか知らないけれど。
 
ゲーム:将来的には、リアルタイムフルCGネットワークRPGの『ファイナル・ファンタジー』をプレイできる日が来るのかもしれない。
 
予算:もちろん、予算をかける=いい映画になる、とは成り得ないことは承知の上でこの文章を書いています。
 
本作品の映像のクオリティ:ただ、カットによっては、「これは実写か?」と錯覚することもある。カットによって映像のクオリティに差があるようで、担当したクリエイターの力量の差がそのまま出ているのだろう。


 
●原作・監督・制作:坂口博信●制作:会田純 クリス・リー●共同監督:榊原幹典●脚本:アル・ライナー『アポロ13』●アニメーション・ディレクター:アンディー・ジョーンズ『タイタニック』●ステージング・ディレクター:タニ・クニタケ『マトリックス』『ファイト・クラブ』●音楽:エリオット・ゴールデンサル『インタビュー・ウィズ・バンパイア』『エイリアン3』

スクウェア・ピクチャーズ制作/全米配給:コロンビア・ピクチャーズ/オフィシャル・ブックス:デジキューブ/ノベライズ:角川書店●サウンドトラック:ソニー・クラシカル/エンディングテーマ:ラルク アン シエル「Spirit dreams inside」
2001年/アメリカ映画/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSR、ドルビーデジタル、SDDS/上映時間:106分字幕監修:戸田奈津子 字幕翻訳:林完治/ギャガ・ヒューマックス共同配給

2000年04月02日

人生の意味『マグノリア(MAGNOLIA)』

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 さて。
 前回、『マグノリア』のことを『引き延ばしたパルプフィクション』と言いました。それから、ネット上でいろいろな人の感想を読みました。で、もう一度『マグノリア』を観ました。言い直します。『マグノリア』は、『真面目に人生を語ったオムニバス映画』です。『パルプフィクション』とは形式こそ似ているものの、別モノですね。
 “ノリ”とケレン味で引っ張っていった『パルプフィクション』と違い、『マグノリア』はある意味くそ真面目な映画です。描かれるエピソードはどれも深刻なものばかり。親のオモチャにされている子供、された元子供、心の傷のためにクスリに頼ってしまう女性、後悔にさいなまれる老人、悔いを改めようとする女性、生きることに不器用な男性、器用に生き抜いてきた男性。
 映画ではそれらのエピソードを、真正面から見つめます。茶化さず、格好をつけずに、ありのままを。みんな、一生懸命生きています。
 やがて彼らはそれぞれに、もうどうしようもない窮地に立たされます。自分にはもうどうしようもない状態。そして、最後に彼らの身に降りかかったアクシデント。あれは、神様の救いの手だったのかも、と今は思っています。あんなことでも起こらないと、もうどうしようもない。人々に、神様がリセットのチャンスを与えてくれた。そう思っています。
 でも、やっぱり思うのは、他のクライマックスは無かったのかな、ということなんだけど。
 う〜ん、なんとも中途半端な文章だなぁ。う〜ん。

マグノリア
MAGNOLIA(1999年/アメリカ/カラー/3時間7分/スコープサイズ/ドルビーSRD,SDDS)
監督/脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
歌:エイミー・マン

音楽、いいですよね。あと、カメラワークっていうのかな、それも好き。例えば、思うのが、3つのエピソードをみせた後の、物語冒頭のテンポ。あのままのテンポで映画全体が流れていたら、また別の面白い映画になったかも、ということ。

2000年03月13日

久しぶりに、まとめてアップ。『シュリ(SHURI)』『ブレア・ウィッチ・プロジェクト(THE BLAIR WITCH PROJECT)』『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(THE WORLD IS NOT ENOUGH)』『ストーリー・オブ・ラブ(THE STORY OF US)』『マグノリア(MAGNOLIA)』

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 えー、さて。
 サボりまくってますね。で、今さら前回書ききれなかった分の『マトリックス』話を書くのもなんなので、別の話。ちなみに書きたかったのは続編予想なんだけど、また今度。DVDが発売された頃にね。
 
 んで、最近観た映画の感想などを徒然なるままに。ここしばらくは、なんとか時間を作って映画を観ることができています。
 
 まずは、韓国映画の『シュリ』。…とても重い。見終わってから、いろんな事を考えました。ボクらが住む平和な日本の隣の国で、現実に、日々死線をさまよう人々がいる。日本が不景気だと言っても、北朝鮮とは比べものにならないということ。同じ民族でありながら、憎しみ合う人々がいるということ。
 アクション映画としてみれば、見事にハリウッドを越えています。背景がしっかりしているので、アクション、派手な映像の一つ一つに意味を感じ、説得力があります。映画の中のアクションとして、これはハリウッド以上です。
 だけど、役者さんの演技がちょっとメロドラマ臭い気も。そこは韓国映画らしい、かな。
 テーマの重さから、万人にお勧めできる映画ではありませんが、チャンスがあれば観てほしい映画です。
 
 次に観たのが『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』。見終わって最初の感想「金返せッ」。あの終わり方はなに? 終わるまでは面白かったのに! ホントに「生」な映像、役者さんの「生」の演技。さぁ、いよいよこれから!ってところで終わってしまうの? 結局、全米での大ヒットは、みごとなプロモーションの賜物なのね。…と、思ったんだけど。
 家に帰って、パンフをパラパラ…。へぇ、こういう背景なのね…。おぉ、よく作り込んであるなぁ。うわー、無茶な撮影してるなぁ。え、そんなシーンあったっけ? もう一回観ようかなぁ…あ、あれ?
 
 次に、『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』。これは単純に楽しめました。このシリーズは『007/ゴールデン・アイ』から観ているんですが、一番面白かったかも。最後のどんでんも面白いし。ま、『007』映画独特のお約束はあるけどさ。たとえば、あの女性はどうしてずっとボンドに同行してるの?とか、あんな怪我してあそこまで動けるもんか?とか。ま、こういう映画は楽しめればそれでよし!
 ピアース・ブロンスナンはすっかりボンドになりきってるし。レナードを演じるロバート・カーライルはいい味出していたし。でも全感覚が麻痺ってのが、展開の中で生かし切れてなかったかな、とは思うけど。これは脚本の問題かな。
 ただ、残念なのが“Q”を演じていた役者さんが公開直後に亡くなられたということ。引退を考えておられたのか、映画の中で後輩に道を譲る場面がありました。暗示していたようで悲しかったです。ご冥福をお祈りします。
 
 あんまり期待しないで観たけど良かったのが『ストーリー・オブ・ラブ』。ブルース・ウィリス&ミシェル・ファイファー出演の大人のラヴ・コメディーという、スゴイ顔合わせ。
 いやこれはねぇ、オススメです。音楽は良いし、展開は良いし、観ていて笑うし泣けるし、見終わって元気になるし。ブルースって、昔『こちらブルームーン探偵社』というテレビドラマをやっていたんですよね。とても楽しいコメディー(?)で大好きでした。で、映画に出始めたら何故かアクションやシリアスなものばかり。どうしてかな、と思っていたんですよね。この映画ではいい味だしてます。
 ボクは、こんなにも、何でもあけすけに言い合えるパートナーに出会えるのかな?と、ちょっと考えて、寂しくもありました。
 
 すごく期待して観たのに…『マグノリア』。音楽のセンスはとてもイイんです。発想もとてもイイんです。たくさんの人々の人生が、偶然の重なり合いで絡まり合い、微妙に影響し合って、衝撃のクライマックスへと向かっていく…というもの。主要な人物は実に12人! で、正直な感想として、監督の『演出力不足』かなぁ、と。あるエピソードで「あぁ、いいシーンだなぁ」ってところで別のエピソードが割って入るのね。
 そして上映時間、実に3時間7分! 長い長い長い!
 でもね、クライマックスが納得のいくものなら、そんなフラストレーションは全部吹っ飛ぶんですよね。でも…。例えば、ドキュメンタリー映画なら、ああいうクライマックスもいいけど、フィクションの映画であんなことやっても、ゼンゼン説得力無い! なにより、あのクライマックスのせいで、3時間かけてせっかく積み上げてきたたくさんのエピソードが、まるで台無し!
 この映画は笑わしたいのか、ナンセンスに行きたいのか、感動させたいのか、最後の最後で分からなくなりました。この映画を例えて言うなら、『引き延ばしたパルプフィクション』かな。
 う〜ん、でも、もう一回観てみたいなぁ。

シュリ
SHURI(1999年/韓国/カラー/124分/ドルビー・デジタル/1:1.85)
監督/脚本:カン・ジェギュ
CAST/
ユ・ジュンウォン:ハン・ソッキュ
イ・ミョンヒョン:キム・ユンジン
パク・ムヨン:チェ・ミンシク
 
気がついたと思うけど、パンフレットの表紙。裏表でちゃんと意味がある。よく考えられていますよね。
 

 
ブレア・ウィッチ・プロジェクト
THE BLAIR WITCH PROJECT(1999年/アメリカ/カラー/ヴィスタ/1時間21分/ドルビーSR)
監督/脚本/編集:ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス
CAST/
ヘザー・ドナヒュー
ジョシュア・レナード
マイケル・C・ウィリアムズ
 
プロモーションにインターネットを効果的に使った、最初の映画だと思います。
 

 
『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』
007 THE WORLD IS NOT ENOUGH(1999年/イギリス/カラー/2時間8分/3,505m/7巻/DTS/SRD/SDDS/SR)
監督:マイケル・アプテッド
CAST/
ジェームズ・ボンド:ピアース・ブロンスナン
エレクトラ・キング:ソフィー・マルソー
レナード:ロバート・カーライル
クリスマス・ジョーンズ:デニース・リチャーズ
 

 
ストーリー・オブ・ラブ
THE STORY OF US(1999年/アメリカ/カラー/1時間36分/ヴィスタ/SRD,SDDS,DTS)
監督:ロブ・ライナー
音楽:エリック・クラプトン、マーク・シェイマン
CAST/
ベン・ジョーダン:ブルース・ウィリス
ケイティー・ジョーダン:ミシェル・ファイファー
 

 
マグノリア
MAGNOLIA(1999年/アメリカ/カラー/3時間7分/スコープサイズ/ドルビーSRD,SDDS)
監督/脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
歌:エイミー・マン

1999年11月08日

マトリックスコート欲しい。『マトリックス(THE MATRIX)』

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 えー、さて。
 前回の続きです。今回もネタバレを含みます。ごめんなさい。前回を読んでない方はバックナンバーからどうぞ。

■アクションが不自然? 非現実的?
 そう感じるのは、あなたが『マトリックス』に気づいていないからです。ネオが生きていたマトリックス世界そのものが非現実なのですから、そこで超人的ジャンプをしようが、銃の弾をよけようが、物理的に不自然なカンフーアクションを繰り広げようが不自然ではありません。マトリックス世界では(理屈では)現実世界での物理的束縛に縛られません。
 映画自体も、「マトリックス世界は作り物」という基本設定があるからこそ、漫画的アニメ的なアクションができるのです。映像としても、銃の弾道を見せたり、しつこいぐらいにスローモーションをつかえたり。
 逆に、現実世界の映像では一度もストップモーションなどは使われません。主人公達も極めて無力な人間として描かれています。

■スイッチが好き
 モーフィアスの仲間です。金髪のショートカットの女性。いや、男性? かわいくて、クールで、いいです。…女性だよね?

■ネオの成長
 そしてもちろん、ネオを演じるキアヌ・リーヴスの格好良さは言うまでもなく、ですね。ネオはトリニティーに導かれ、成長しました。キアヌ本人もまた、この作品で成長したのかな?(映画ではシャープに引き締まった肉体になってましたが、今はまた太り始めているようで。…心配だ)

■必要性
 さて。ビルに突入するネオとトリニティーは、超人的なアクションで警備員を次々に殺していきます。華麗なアクションで、とても綺麗な映像で魅せてくれます。…ちょっとまて、警備員達は悪人なの? 殺す必要があるの? 彼らもまた、“マトリックス”の犠牲者じゃないの?

■パクリパクリパクリ
 いや、パクリというか。監督のウォシャウスキー兄弟も認めてることだけどさ。押井守監督の『攻殻機動隊』にそっくりなシーンが続出です。でも、怒りとかはないんですよね。だって、すべてが虚構のアニメ世界を完璧に実写映像として再現しているんですもの。

 あ〜、まだ続きます。次回へ。

THE MATRIX
日本語版公式サイト。
 

 
脚本/監督/製作総指揮:ラリー&アンディー・ウォシャウスキー
撮影:ビル・ポープ
作曲/演奏/指揮:ドン・デイビス
美術:オーウィン・バタソン
衣装:キム・バリット
編集:ザック・ステインバーグ
制作:ジョエル・シルバー
共同製作:ダン・クラッチョロ
製作総指揮:アンドルー・メイソン
製作総指揮:ブルース・バーマン
製作総指揮:バリー・M・オズボーン

おいおい、製作総指揮が多すぎないかい?
 

 
カンフー・コレオグラファー:ユアン・ウーピン
彼が一番すごいと思う!

1999年11月03日

なぜ気づかない『マトリックス(THE MATRIX)』

関連カテゴリ: シネマ徒然

 だからスターウォーズよりもね…あ、前の記事から1ヶ月以上たってしまった。ほんとは翌日にでも続きを書く予定だったんだけど、翌日から怒濤のような忙しさで死んでました。というわけで9月16日の続きです。なお、9月16日分を読んでない人はバックナンバーから読んでから以下を読んでもらえると嬉しいです。
 それと、今回は多分にネタバレを含みます。『マトリックス』をまだ観ていない人は、観てから読みましょう。
 さらに、今回は言いたいことがあまりに多くて整理できないので、いつもとは書き方変えます。
 
■まずはSFX
 これはもうあちこちで言われているが。とにかく凄い! いや、凄いの。凄いんだって(なんてボキャブラリーの少ない…)。ドタマをかち割ったろかってぐらすごい。
 ハリウッドの大がかりな特撮技術、コンピュータ合成や香港映画のワイヤーアクション、それらが隙間無く組み合わされ、今までに見たことのない映像世界が展開される。

■ワイヤーアクション
 ほとんどを役者本人が演じているという。ハリウッドでは異例の、4ヶ月というアクション訓練を経て。壁を使った空中回転も本人。

■それにカメラワーク
 映画終盤。追われるネオが鉄サビだらけの階段を駆け上がる。カメラは追っ手の目線から一気にネオへと距離を縮め近づく。そこで、ただ直線的にズームアップするのではなく、ネオの直前で“グゥインッ”と彼の顔に回り込み追いつめられる表情を伝える。
 ビルに突入。激しいBGMに合わせ、スローモーションを執拗に繰り返す。スローなのに激しい。
 中盤。上空のヘリからビルにガトリングをぶっ放すネオ。地面に落下する薬莢を下から撮し、スローモーション。きらめく薬莢。美しい。
 どんな些細なシーンにも作り手の情熱を感じて、好きです。

■逆転の構図
 全体の構図として面白いと思ったこと。
 冒頭、キアヌ演ずるアンダーソンは夢から覚める。しかし、彼は妙な感覚、“起きてもまだ夢を見ているような感覚”を感じていた。やがて彼は、白ウサギに導かれ、夢から覚める。夢から覚めたアンダーソンに待っていたのは、悪夢のような現実だった。
「夢オチ」というものがある。我々は悪夢から覚めれば、いつもと変わらない穏やかな現実に「ああ良かった」と胸を撫で下ろす。だが、『マトリックス』ではその中身がそっくり入れ替わってしまっている。

■トリニティーの美しさ
 マトリックス世界のトリニティーは強く毅然とたくましく、アンダーソンを導く。真実の世界では母性でネオを包み、支える。あぁ、こんなおねぇさん欲しい…。

■デザイン
 今までの、ヒットした近未来SFは、(大雑把に言って)2つのタイプがあった。一つは、現在の科学が正常進化した明るい未来世界。色で言えば白とかシルバーとか、クリーンな先進的イメージ。もう一つは、『ブレードランナー』から続く、色で言えばブルーとグレー、それに“濁った極彩色”を基調にした廃退的な世界。
 さて、『マトリックス』だが、廃退的。そこは『ブレードランナー』的。だけども、色。それは黒。すべてが黒。もしくはグレー。衣装はシックでハードでスタイリッシュ。メカデザインでいうと、かなりグロテスク。例えればメカニカルな『エイリアン』? でも違う。新しい世界観を作り出したのかも知れない。
 
 あ。長くなったので続きは次回。ん、ほめてばっかり? 次回は辛口かも。

『マトリックス』(1999年/アメリカ)
原題:THE MATRIX
上映時間:2時間16分、7巻、3726m
シネマスコープサイズ SRD/SDDS/DTS
字幕翻訳:林完治
オリジナル・サントラ盤:ワーナーミュージック・ジャパン
スコア盤 カルチュア・パブリッシャーズ
配給:ワーナー・ブラザーズ映画
 

 
THE MATRIX
日本語版公式サイト。とても充実。
 

 
キアヌ君の主演作で似たような映画に『JM』(1995年/アメリカ)があります。その出来は…。
 

 
SF映画が、『ブレードランナー』の呪縛から逃れることは出来るのか。
 

 
“マトリックス・コート”欲しいなぁ。ほんまに、かなり欲しい。すごく欲しい。

1999年09月16日

『マトリックス』公開! と、その前に…『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス(Star Wars : Episode-I THE PHANTOM MENACE)』

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さてさてさて!
『マトリックス』観ましたか?
 ネオ、かっこいいですねぇ! モーフィアス、いい男ですねぇ! トリニティ、キレイですねぇかっこいいですねぇ強いですねぇ!
 これはねぇ、衝撃でいったら、『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』よりも大きかったです!
 
 確かに、『ファントム・メナス』への期待が大きすぎたのかも知れません。十数年、ボクにしても噂を聞いてから数年待って、待って、ついに公開! 『スター・ウォーズ』です。あの伝説の『スター・ウォーズ』の続編、いや、序章なのです。期待が大きすぎたのかも知れません。公開されたそれは、まさに『伝説』でした。歴史年表を指でなぞるように、言ってみればボクらにとっては話の結末はすでに前3部作で分かっています。そんな伝説の一部、伝説の『始まり』をあえて映像化するというジョージ・ルーカス。何かをやってくれるだろう、そう信じていました。ボクらを裏切り、驚かせ、胸躍る体験をさせてくれる…。
 確かに、ダース・モールとジェダイの、ライトセーバーによる緊迫感あふれる対決は、とてもドキドキしました。ポッド・レースではその臨場感あふれる映像に、目が釘付け。アナキンの旅立ちでは、涙が出ました。あのどんでん返しは驚きましたし(なんで気がつかなかったのか不思議)、あのキャラの登場は懐かしかったです。あれがあんなことになるとは思いませんでしたし、あれには笑いました(『あれ』達が何かは映画を観てください)。
 なにより。オープニング。あの、メインテーマが流れ、『スター・ウォ−ズ』のロゴが登場したとき、本当に涙ぐみました。何故だか、涙ぐみました。
 だけども。見終わったとき。充実感がないのです。続きがどうなるのだろう、という強い興味を感じないのです。一つ一つのシークエンスは楽しく魅力があるのですが、映画全体を通してみると、なんていうか、一本筋が通っていない、というか。
 例えて言うなら、歴史年表に記されている、大きな出来事だけを拾い出して映像で観ているような、そんな感じを受けました。
 『スター・ウォーズ』サーガという大きな物語の一部を観ているんですから、もしかしたらこれは当然の感想なのかも知れません。たくさんの伏線が交錯し、それらが『エピソード6』に結実する。『エピソード1』はそのすべての始まりを見せないといけない。大変な作業だと思います。
 例えば、ボクが求めたのは、常人にはどう考えても、ルークやレイア姫の活躍する『エピソード4』には繋がりそうのない物語の序章…。一つ一つのシークエンスが密接に繋がり、全体として大きな一つの物語を成している…。
 
 まぁ、あのアナキン少年がどうしてダース・ベイダーになってしまうのか、とか、ありますけども。
 
 う〜ん、ちょっと、勢いに任せて書きすぎたかも…。後で冷静になって、釈明するかも知れません…。
 
 …『スター・ウォーズ』の対象とする年齢層に、ボクは合っていないのかも知れません。ボクよりも、もっと低い年齢層を対象にしているのかなぁ。
 
 色々書いてしまいましたが、必見の映画なのは間違いありません。ボクはちょっと期待しすぎてしまったみたいですけれども。期待する方向が違ったのかな。
 
 さて、そんな、ちょっと肩すかしを食らったボクの、ドタマを直撃したのが、『マトリックス』ですっ!

 続きは次回。

Star Wars Official Web Site
アメリカ本家公式サイト。英語です。
Star Wars : Episode-I
…のEpisode-Iのページ。英語です。
Star Wars : Episode-I
Episode-Iの日本語版公式ページ。
Duke's Star Wars Home Page
おそらく日本最大の『スター・ウォーズ』ファンページ。圧巻の充実ぶりです。
 

 
キャラクターの名前は、はっきりしない。たとえば、クワイ=ガン・ジンなのか、クワイ=グン・ジンなのか、クワイ=ゴン・ジンなのか。
 

 
『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』(1978年/アメリカ)全米公開は1977年。原題『STAR WARS Episode IV A NEW HOPE』。公開時は副題はなく、これは後になってついたもの。
 
『スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲』(1980年/アメリカ)原題『STAR WARS Episode V THE EMPIRE STRIKES BACK』。この作品から、初めて副題がついた。また、この頃から『エピソード5』という呼び方がされはじめ、疑問を呼んだ。
 
『スター・ウォーズ エピソード6 ジェダイの復讐』(1983年/アメリカ)原題『STAR WARS Episode VI RETURN OF THE JEDI』。『RETURN』なのに、どうして『復讐』? これは、初めは『Revenge of the jedi』だったものが公開数ヶ月前になって『Return of the jedi』に変更されたもの。本来なら『復讐』ではなく『帰還』なのに、なぜか公開時の邦題は『復讐』のままだった。いまだにそのまま。謎である。『ジェダイの帰還』に直すべきだと思う。
 
『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』(1999年/アメリカ)原題『STAR WARS Episode I THE PHANTOM MENACE』。
 
そして!
2002年に『エピソード2』、2005年に『エピソード3』を公開予定!
 

 
かなり勝手ワガママ辛口なことを書いていますが、なんだかんだ言っても、『エピソード2』も『エピソード3』もすごく楽しみにしています(笑)。愛あればこそ、ですよ。早く公開されないかなぁ!

1999年09月06日

忘却の彼方

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 えー、さて。
 ボクなんて、頭のよろしい方じゃないですから、「おおっ、これはすばらしい映画だっ」とか思っても、しばらくしてみると題名なんかをさっぱりと忘れちゃってたりするんですね。
 で、人に「あれはいい映画だっ」って勧めようと話し出して、「で、なんて映画?」と聞かれて「…う〜ん」。情けなや…。
 で、おかしなことに、「こんな映画、記憶から消し去ってやるっ」なんてのに限って覚えてる。
 たとえば? たとえば、数年前に上映された、某気流の乱れる飛行機映画とか、そのちょっと前に公開された、某ヒーローしかやらない役者の西部劇とか(ちょっと前、瓶を海に流してましたねぇ)、某マッチョヒーローの山登りとか…(別に隠さなくてもいいんだけど、なんとなく)。
 
 いや、まてよ、忘れたい映画の題名も、忘れるまでもなく、とうの昔に忘れてる気がする…。『忘れる』で思い出したのは、アーノルド・シュワルツェネッガーとシャロン・ストーン主演の『トータル・リコール』。ボクは結構好きです。
 主人公の男は…と、書き出して、詳しい筋を忘れていることに気がついた…。う〜む。

分かる?

満たされぬもの『不夜城』

関連カテゴリ: シネマ徒然

 男は、鍵を開けるべきじゃなかった。
 部屋に入るべきじゃなかった。
 女の部屋に、入るべきじゃなかった。

 二人が住むのは、未完成のマンション。ビニールが部屋を覆う、生活感のない無機質な部屋。
 人の温もりのない世界で生きてきた二人には、似合っていたのかもしれない。
 二人の心理を象徴するかのよな、未完成の無機質な部屋。

 悲しげな、男の瞳。あまりに深い色をたたえる、女の瞳。

 男は、部屋に入らなければ、知ることはなかった。女と関わらなければ、知らずにすんだ。人の温もりを。
 女の心に入らなければ、味あわずにすんだ。愛する人を失うことを。

 男は再び一人になった。
 痛みを知らずにすんだのに。
 
 
 好きになんてなるんじゃなかったと、
 人を好きになんて、なるんじゃなかったと、
 後悔するときがある。
 それはとても悲しいこと、寂しいこと。
 想いを拒否され、裏切られ、断ち切られ。
 でもそれは仕方のないこと。
 苦しいけれど、受け入れなければならない。
 
 理屈ではなく、格好悪いけれども、純粋に好きなだけ。
 そんなモノはつまらない、価値がない、気にしない、そう言い聞かせても、
 一度生まれて育った想いは忘れようが無く。
 
 見つめよう。
 現実を受け入れよう。
 この現実を。
 
 
 そして、男は、現実を受け入れたのか?

『不夜城』(1998/日本、香港、台湾)
原作:馳 星周
監督:李志穀(リー・チーガイ)

Cast:
劉健一(リウ・ジェンイー/りゅう・けんいち):金城 武
佐藤 夏美:山本 未来
呉富春(ウー・フーチュン):椎名 桔平

1999年08月22日

医療ドラマ『ER〜緊急救命室〜(ER)』

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 映画ではないんですが、最近かなりハマっているドラマがありまして。
 みなさん、もうご存じだとは思いますが、NHK系列でやっている海外ドラマ『ER〜緊急救命室〜』です。現在は地上波NHKで第3シーズン、NHK-BSで第4シーズンをやっています。ボクは地上波NHKの方で、毎週日曜日の晩に目をこすりながら、翌日仕事だというのに観ています。
 何が面白いって、その「自然さ」でしょう。医療現場で働く人々の姿が、等身大でなんの飾りもなく描かれていて、とても親しみを持てます。あぁ、お医者さんもやっぱり人間なんだよなぁ、と。当たり前のことだけど。
 自分と同じ境遇の患者を前にとまどいを覚えつつも、懸命に仕事をこなしていく。家族と過ごす時間と、患者を救うための時間、その両立。医師と看護婦の関係。病院という組織の一員としての医者と、患者を救いたいとだけ思う医者としての自分、その葛藤。
 治療場面のリアルさにも驚きます。あ、いや、ボクは医療現場の人じゃないから、ほんとに現実に忠実なのかは分からないけれども、雑誌記事によれば、本物のお医者さんが「医療現場をきちんと描いてくれている」とドラマを誉めたとか。
 そして、出演者の多さ! もぉ、入れ替わり立ち替わり、忙しいのなんの。そしてそして、これだけのたくさんの込み入った、絡み合った、交錯しあうたくさんのストーリーを、分かりやすく、魅力的に描いている脚本!
 是非一度ご覧くださいませ。
 
 え〜さて。日本でも近頃、医療ドラマがいくつか制作されていますが。……はぁ。この違いはいったい……。

出演者の素晴らしさも忘れるわけにはいきません。ジョージ・クルーニーはもちろんのこと、最近名前を聞いたのが、…名前忘れた。白人青年医師役の人が、アメリカTVドラマでApple暫定CEOスティーブ・ジョブズを演じて好評だったとか。日本でやらないもんですかねぇ。
 

 
あ、日本の医療ドラマ、そんなにちゃんと観た訳じゃないので、「これはオススメだっ!」ってのがあったら教えてください。

1999年08月17日

とりとめのないはなし

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 え〜、さて。
 …なんも考えないで書き始めてしまった。ま、なんとかなるでしょ。
 
 ゴジラが、『ゴジラ2000ミレニアム』で日本にて制作! いやーめでたい。めでたいけど、不安も大きい。漏れ聞くストーリー、UFOが出てくるそうな。もしかしてあれ? UFOとゴジラが対峙して、原色バリバリの特撮光線で闘うの? 漏れ観た映像は、ゴジラを上から見たシーンばっかりだし(やっぱり怪獣の恐怖感演出には、怪獣を仰ぎ見る構図が必要でしょう?)。観に行かないかも。
 
『鉄道員(ぽっぽや)』、好評のうちに上映を終えたようで。ボクはまだ観られていないので、小劇場で観るか、ビデオで観るか。劇場で観ると、ちょっと恥ずかしいかもなぁ。ハンカチ必須っぽいし。でも、心に潤いが欲しいなぁ。観たいなぁ。
 
 潤い…。恋とか愛とか、そういう映画が観たいなぁ。観たい。すごく観たい。実生活じゃそういうのに恵まれないから。サンドラ・ブロックの『恋は嵐のように』、観た人います? 観たいんだけどなぁ。
 
 そうそう、リュック・ベッソン監督『タクシー』の続編『taxi2』の撮影中に、カメラマンが亡くなったそうな。う〜ん。確か、同じベッソン監督の中世時代の映画(なんだっけな、えーと。英雄の女性の…ジャンヌ・ダルクだ!)でも、大群衆の戦闘シーンで役者さんが亡くなったような…。こういうこと他の映画でも、表に出てこないだけで、結構あるんだろうか。
 
『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』観ました? あれ、むっちゃ面白いっすよ! そしてそして、すでに続編が決定! めでたい! めでたいんだけど、肝心の主役たちの出演了承をまだ得てないそうな。これはもしかして『スピード』の二の舞となるのかっ。はたしてっ!?

わはは、数カ月ぶりなのに、素知らぬ顔で書き始めてしまうかいとであった。

1999年03月29日

シネマ徒然もリニューアルです。

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 えーさて。

 リニューアルしました。その途中で、バックナンバーを読み返したんですが・・・。
 なんて稚拙な文章なんでしょう。まぁ、趣味だからプロみたいにうまくなくてもいいんだけどさ。恥ずかしくなりましたよ。中身も、勝手なことばっかり書いてるし。
 でも、やめませんよ。だって、もう何個か書き溜めたものがあるもの。
 書きたいこともいっぱいあるし。ガメラにスターウォーズに他いろいろ。

 というわけで、今回はこれまで。

1998年01月17日

人とのつながりって?『ハル』

関連カテゴリ: シネマ徒然

 パソコン通信って、不思議な世界ですよね。インターネットもそうですけれど、実際に会ったことの無い人と知り合うことが出来て、いろいろな話が出来て、一度も顔を見たことが無いのに相談を聞いてもらったり。いつのまにか、実生活と同じくらい大切な人間関係が出来ていたり。

 森田芳光監督の『ハル』も、そんな経験をする人々の話です。普通のサラリーマンの主人公「ハル」、デパートで働くOL「ほし」。パソコン通信の映画フォーラムでたまたま出会う二人。「ほし」は男のフリをして(いわゆるネットオナベですね)通信をしています。ゆっくりと、淡々と二人の周辺をカメラは映していきます。
 やがて、メールのやり取りをはじめる二人、一線をひいた会話から、とりとめのない世間話、お互いの悩みの相談、積み重ねられていく時間、メール。ゆっくりと、時間が流れていきます。お互いの顔を知らず。やがて、二人は…。ってなもんです。
 ストーリーは例によって書きません。まずは、観て下さい。パソコン通信に縁のなかった人が、この映画を見て興味を持つこともあるかもしれませんね。ま、通信を実際にやっている人にとっては、こんないいことばかりじゃない、と言う風に思う人もいるかも知れませんけれど。
 通信の雰囲気を結構うまく描いています。ディスプレイに表示される通信の文章を、ディスプレイ画面に表示という形を取らず、あえて、そうですね、例えて言うなら、昔の無声映画時代の台詞のように、画面を暗転させて文章を見せます。あの、僕らには見慣れたメッセージ「未読はありません」、これがうまく使われています。これを見ると、結構さみしいんですよね。なんか、自分だけ世の中から取り残されたようで。

 二人以外にも、様々な人々が画面の中で生きています。主人公達と関わっていきながら。みんな、不器用で。誰でも、寂しいんですよね。寂しくて、人とのつながりが欲しくて、パソコン通信をしてみたり。なんだか、共感というか、そんなものを感じました。

 主演の「ハル」を演じる内野聖陽(なんて読むの?)さんは、この前までやっていたドラマ「ラブ・ジェネレーション」に総一郎役で出ていた人です。木村拓也のお兄さん役ですね。この映画では、気のいい優しい青年役を演じています。
 「ほし」を演じる深津絵里さんは、今放送中のドラマ『きらきらひかる』で、先輩女医に憧れる、新人の女医さん役で出ています。
 他にも、ミュージシャンが役者で出ていたりします。
 森田芳光監督は、なんと言っても『家族ゲーム』でしょう。家庭教師役の松田優作をはじめ、役者さんはいい人ばかりだったし、展開の「間」に、なんとも言えないものがありました。そういえば、音楽をまったく使っていなかったかな? 『ハル』でもそうですが、「音」が映画をよく助けてくれています。そうだ、肝心なものを忘れていました。『失楽園』、あれも氏の監督です。僕は観ていませんが…
 『ハル』の主題歌は The BOOM。なんとなく、映画に合っていて好きです。

 派手な映画でもないし、げらげら笑う映画でもないし、思想を振りかざして熱弁を振るう映画でもないけど、小さく優しく囁きかけてくれる映画です。

森田芳光監督作品の一覧を書こうと思ったんですが、あいにく手元に完全な資料がないので、すんませんです。あぁ、ピアシネマクラブの最新版、欲しいよぉ。

『家族ゲーム』(1983/日本)

『ハル』(1996/日本)

映画『ハル』については、素敵なページを見つけましたので、こちらにどうぞ。
映画チャット(追記:サイトが無くなっていました)

1998年01月06日

今年の映画その2

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 えーさて。
 公開中の『北京原人』、ベテラン俳優が特殊メイクで演じているということですが、一体誰が演じているのか? それだけ教えてください(笑)
 公開中の『CURE/キュア』、面白そうかな、とも思うんだけど、『セブン』と印象が似ていそう。でも、役者さんが面白そう。役所広司、萩原聖人、うじきつよし。
 中年男4人のストリップの話『フル・モンティ』、笑えて、ちょっぴり泣かせて、という感じの、もしかしたら、いい映画なのかもしれない。観たいかも。
 ドリームワークスの第一回記念作品、『ピースメーカ』。ジョージ・クルーニーとニコール・キッドマンの共演。面白いのでしょうか? 試写会に行かれた方、いらっしゃいます?
 1月31日より公開の『リング/らせん』、宣伝を観ていると、そこはかとなく面白そう。
 北野武監督の『HANA-BI』、興味アリ。と、その前に『キッズ・リターン』を観なければ。まだ観ていないのです。
 そして、3月公開予定の、『エイリアン4』。一体、どんな映画になることやら、興味津々。観るかどうかは別問題だけど。
 秋に公開予定の、アントニオ・パンデラスが主演の怪傑ゾロ、これは、もしかしたらいいかもしれない。あの濃い濃い顔の彼が豪快に演じてくれたら、はまってしまうかも。
 「ホーム・アローン3」が、主役交代でゴールデンウィークに公開予定。う〜ん、カルキン君は、今ごろどこで何をしているんだろう…。
 「スピード2」を降りたキアヌ・リーブス。アル・パチーノ氏と共演して、若き弁護士を演じる模様。これ、楽しみです。だって、アル・パチーノだもの。
 そういえば、雑誌で読んだんだけど、ジーナ・デイビス(ザ・フライ、ビートルジュースなんかに出ている、背の高い口のでかい人)が、ハリウッドで制作される「セーラームーン」に出演するとかしないとか。…謎だ。

『北京原人』
『CURE/キュア』
『フル・モンティ』
『ピースメーカ』
『リング/らせん』
『HANA-BI』
『キッズ・リターン』
『エイリアン4』
『ホーム・アローン3』
『スピード2』
『セーラームーン』

1998年01月02日

今年はどんな映画に出会えるでしょう。『ゴジラ(GODZILLA)』

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 えー、さて。
 新年一回目の徒然は、何にしようかな、と考えて、ま、新年にふさわしく、今年の公開予定の映画の話など。

 まず、気になるのが、今ハリウッドで制作中の『ゴジラ』。ウェブをさ迷っても、全然ゴジラそのものの映像が見当たらない(どっかにあったら、教えてください)。
 思えば、『もののけ姫』を観に行った時に現れた、あの予告編映像、博物館のT-レックスの化石を踏み潰すあの脚を見た時から、期待は膨らむばかり。その時のまわりの客席の反応も面白かったですよ。ざわめきとともに、「ジェラシック・パークかと思ったわ」という囁き、「あの脚、ゴジラなん?」という疑問の声。そりゃそうでしょう、あの脚は、どう見てもただの爬虫類。ジェラシック・パークの焼き直しじゃ、嫌よ、ってなもの。

 そもそも、最初は『スピード』のヤン・デ・ボン監督のはずだったのです。期待しましたねぇ。新しいゴジラを創ってくれるんじゃないかと、期待しましたねぇ。だって、ねぇ。ゴジラって、やっぱり恐怖映画だと思うんですよ。怪獣王ゴジラだと思うんですよ。だけど、日本の一連のゴジラは、ヒーローになっちゃって、良い子の見方なんだもの、なんだか、ねぇ。84年復活ゴジラ以前のゴジラに至っては、息子までできて、えらい人間臭いの。「シェーッ!」なんて、飛んでる場合じゃないよ。あんた怪獣でしょっての。最近のも、(ビオランテまでしか観ていないけど)怪獣対戦ものみたいで、なんとも。
 …いかん、言い過ぎてしまう(笑)いや、そういうゴジラもまた、面白いといえば面白いんですけどね、なんていうか、あまりにも、人間にとって都合が良すぎるんじゃないかと思うわけです。ゴジラが人間のために何かするなんて。ゴジラという存在は、環境を汚し、手前勝手に自然を汚していった人間への警鐘というか、警告というか、
そういう意味があると思うんです。だからこそ、「人間の作り上げた都市ビル群を破壊するゴジラ」に意味があり、逃げ惑う人々が絵になるんです。

 で、それは、やっぱり恐怖映画でしょ? ゴジラという、自然の代弁者である脅威の存在が、人間を襲う、それが、『ゴジラ』だと(僕は)思うんです。で、ヤン・デ・ボン監督。『スピード』を撮った監督なら、とびきりの恐怖映画を撮ってくれるんじゃないかと、思ったんです(『スピード2』は置いておいて。当時は、『スピード』の公開直後)。だけど、降りたのか降ろされたのか、なぜか監督しなかったんです。で、しばらくはハリウッドゴジラの話も聞かなくなり、「立ち消えになってしまうのかぁ?」と思っていたんですが…。

 監督は、『インディペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督に決まり、ただいま撮影中だということです。残念ながら、僕は『インディペンデンス・デイ』は観ていないので、どんな映画になるのか想像がつかないわけですが、とにかく楽しみで仕方ありません。公開は、夏の予定。
 …ただ、一つ気になるのが、現在メインコピーに使われている、“SIZE DOES MATTER”=「大きさがモノをいう」というコピー。でかいだけじゃあ、ねぇ。
 ただでかいだけの、大味な映画にならないことを祈るばかりです。
 う〜ん、いいたいこといってるなぁ(笑)待つ、反論(笑)

 あれ? 公開予定の映画の話をするはずが、ゴジラの話だけになってしまいました。まぁいいか。続きは、またの機会に

ゴジラシリーズ公開作品全一覧([]内は観客動員数)

『ゴジラ』(1954)[961万人]
『ゴジラの逆襲』(1955)[834万人]
『キングコング対ゴジラ』(1962)[1255万人]
『モスラ対ゴジラ』(1964)[720万人]
『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)[541万人]
『怪獣大戦争』(1965)[513万人]
『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966)[421万人]
『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967)[309万人]
『怪獣総進撃』(1968)[258万人]
『オール怪獣大進撃』(1969)[148万人]
『ゴジラ対ヘドラ』(1971)[174万人]
『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(1972)[178万人]
『ゴジラ対メガロ』(1973)[98万人]
『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)[133万人]
『メカゴジラの逆襲』(1975)[97万人]
『ゴジラ』(1984)[320万人]
『ゴジラVSビオランテ』(1989)[200万人]
『ゴジラVSキングギドラ』(1991)[270万人]
『ゴジラVSモスラ』(1992)[420万人]
『ゴジラVSメカゴジラ』(1993)[380万人]
『ゴジラVSスペースゴジラ』(1994)[340万人]
『ゴジラVSデストロイア』(1995)[400万人]
全22作。

ゴジラ対戦成績
19戦15勝2敗2分

 僕も、全作品を観たわけじゃないですけど、好きなのはまず、1984年の復活ゴジラ。それから、そうだなぁ、1971年の対ヘドラ。
 他のものも、面白いといえば、面白いんだけど、お笑い怪獣映画というか、子供のことを舐めた子供怪獣映画というか。いや、確かに怪獣映画は子供向けだから、面白ければいいんだけど、…う〜ん。
 初期のものは、観ていないのでなんとも言えません。あ、1954年の第一作は、もちろん面白かったです。

1997年12月26日

シャロン・ストーンの西部劇『クイック・デッド(THE QUICK AND THE DEAD)』

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 えーさて。
 12月のシネマ徒然は、これが最初だったりするんですね。だって、ロゴ作ったり、HTML書いてる方が楽しかったんだもん(笑) で、このまま12月は無しってのはヤなので、なんか書きます。
 で、何を書こう、と思ってふと机の上を見ると、TSUTAYA CLUB でもらったシネマハンドブックがありました。これ、いいですよね。ただでこんなのくれるなんて、嬉しい。作品ごとに、数行の解説が書いてあって、あれ、どんな映画だったかな、という時、役に立ちます。
 で、こいつを、目をつぶって、パラパラとやります。パラパラ…「アクション・西部劇」のページが出ました。お、こいつにしよう(こんな決め方するなよ…)。

 『クイック&デッド』、シャロン・ストーンの出ていたものですね。これは、ひたすらシャロン・ストーンのかっこよさを追求した映画の気がします。年に一度の早撃ちトーナメントを控えたヘロッドの支配する西部の街。そこに現れた美貌の女ガンマン、エレン。本当の目的は、ヘロッドに殺された父親の仇を討つためだった・・・。
 これ、ビデオで観たんですが、観る前はあんまり期待していなかったんですけれど、なかなかどうして、面白かったです。シャロン・ストーン、帽子かぶっていたら、美少年のようで、妙なかっこよさがあります。登場人物は、言ってみれば西部劇のお約束キャラかな?というのがいっぱい登場します。で、それぞれの役者さんが、その役にぴったりで、いいんです。名優、ジーン・ハックマンも渋くていいですね。

 話は、西部の街での一騎打ちを中心に進んでいきます。必然的に、何度も何度も二人のガンマンが対峙するシーンが出てくるわけですが、そのシーンがそれぞれに、因縁の相手だったり、決着の付け方に工夫があったりして、飽きません。いえ、飽きないというより、面白いです。街に大きな時計があるんですが、それの使い方も好き。
 因縁といえば、ジーン・ハックマン演じる父と、レオナルド・ディカプリオ演じる息子。息子にとって、父はいつか超えないといけない存在、この息子にとって、父を超えるには、ああするしかなかったのですね。

 いくつか、疑問もありますけれど。例えば、ラッセル・クロー演じる牧師は、一体何日間ものを食べていないのか、とか、ラストの大時計の派手な○○○、あそこまでやったら街の人に迷惑じゃねぇか、とか(笑)これ、観ていないと分からないですね。
 特別、深い内容でもないですけれど、観ても、損はないと思います。単純に楽しめます。
 でも、やっぱり、「シャロン・ストーンのための映画」という印象は拭えませんが(笑)

シャロン・ストーンの主な出演作品
『魔性の女』(1985/アメリカ)
『コールドスティール ロス市警特捜刑事』(1988/アメリカ)
『欲情の扉』(1989/イギリス)
『血と砂』(1989/スペイン)
『トータル・リコール』(1990/アメリカ)
『シザーズ 氷の誘惑』(1990/アメリカ)
『犬の眠る場所』(1991/アメリカ)
『氷の微笑』(1992/アメリカ)
『硝子の塔』(1993/アメリカ)
『ミッドナイト ギャンブラー 危険な賭け』(1993/アメリカ)
『わかれ路』(1994/アメリカ)
『スペシャリスト』(1994/アメリカ)
『クイック&デッド』(1995/アメリカ)
『カジノ』(1995/アメリカ) 『悪魔のような女』(1996/アメリカ)
『ラストダンス』(1996/アメリカ)

ふぅ、さすがに多いね。知らないものも結構あった。

レオナルド・ディカプリオといえば、今公開中の大作『タイタニック』が楽しみです。


『クイック&デッド』
(1995/アメリカ/1時間47分)
監督:サム・ライミ
脚本:サイモン・ムーア

シャロン・ストーン
ジーン・ハックマン
ラッセル・クロー
レオナルド・ディカプリオ

1997年11月22日

あ、一言。『ボルケーノ(VOLCANO)』

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 前回、『ボルケーノ』のことをべた誉めしていて、まるで、素晴らしい人間ドラマみたいに書いているけど、それはあくまでパニック映画、災害映画としてみればよく出来ているなぁ、ということで、「素晴らしいヒューマンドラマを観に行くんだ」という過度の期待を持って映画館に行くと、ちょっと肩透かしを食らうかも知れませんので。念のため(笑)
 でも、面白い映画だということに、間違いはありません。都市災害の恐怖を体感できます。

 今日はこんだけ(笑)

『ボルケーノ』(1997/アメリカ)

1997年11月20日

難しい。『ボルケーノ(VOLCANO)』

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 難しい。
 文章を書くのは難しい。日記ならともかく、人に読んでもらうのを前提に書く文章というのは、難しい。絵を創るのと同じくらい難しい。書けば書くほど難しくなっていく。書き続ければ、うまくなっているとは思うんだけれど、自分ではそれが分からない。ふとした時に昔のものを読み返してみて、顔から火が出て全身が縮こまる思いをして今これを修正して昔に戻ってそれと差し替えたくなることがあるけれど、そんな事は出来ないから、ただもう、若気のいたりを布団を噛んで悔やむばかりである。そんな時、少しは悪い文章がどんなものか分かるようになったのかも、と思ってみたりする。なんで布団を噛むのかは分からない。

 映画の台詞というのは、それを演ずる役者さんの口から出て初めて、完成となる。
 僕が最近見た映画の台詞で感動したのは、『ボルケーノ』の、ラスト近くの台詞である。

「みんな同じ顔をしているよ」

 これだけ書いたら、何の事かさっぱり分からないと思うけれど、映画を見れば、この一言がどれだけこの映画を引き締めているかよくわかると思う。この映画は、SFXばかりが宣伝されているけれど、それだけの映画ではなく、ちゃんと言いたいことを持った映画である。
 詳しく説明したいんだけれど、映画の解説ではそれは出来ない。映画はやっぱり予備知識なしに観た方がずっと面白いから。某映画評論家さんは、作品の前に映画の筋をとうとうと語ってしまうけれど、あれはやっぱり頂けない。まあ、あの人の映画への愛を感じるから、苦笑しながらも聞いてしまうけれど。

 映像はど迫力で、音楽もすばらしく、役者さんも一流の人が出ているんだけれど、台詞(脚本)が「???」で、興ざめしてしまう映画もなかにはあるけれど。
 逆に、映像も音楽も貧相だけど、台詞に感動してグッと来る映画もある。そんな時、映画っていいなぁ、と思ってしまう。

 この映画の監督は、あのケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストンの『ボディ・ガード』の人。なるほど、うまいわけだ。脚本はというと、これが初めての劇場用映画の脚本になるジェローム・アームストロングという人。パンフによると、コピーライターをしていた人だそうだ。納得。
 SFXの見所といえば、何といっても溶岩。あれは、恐い、自然に体が硬直してしまうか、体が引けてしまう。どろどろと、ゆっくりと、しかし確実に迫り来る溶岩! 一見の価値アリ。
 あ、長くなってきたので、役者さんについてはまたの機会に。

 などと、今回は文語体で書いてみたけれど、どこかしら偉そうに聞こえて、どうもしっくりこない。
 文章って、難しい。

ミック・ジャクソン監督の主な監督作品
『LAストーリー 恋が降る街』(1991/アメリカ)
『ボディ・ガード』(1992/アメリカ)
『ボルケーノ』(1997/アメリカ)

1997年11月14日

堰を切ったように。『フェイク(DONNIE BRASCO)』『ボルケーノ(VOLCANO)』

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えーさて。
 新作映画が、まるで堰を切ったかのようにどんどん公開されていきますね。
 これは『もののけ姫』と『ロストワールド』が記録的な上映期間でしたから、それで公開されなかった映画が次々と公開されている、ということなのかな。
 その中でも個人的に期待しているのは、『フェイク』(東宝東和)という映画。ストーリーがウソみたいな話なんだけど、これがまた実話をもとにしているというから、驚きです。潜入捜査官というのがいて、マフィアの内部に潜入して、内側から組織を壊す、という話。お勧め。

 パニック映画、『ボルケーノ』(東宝)観てきました。もし都市のど真ん中に火山が噴火したら…。これは、期待していなかったんですけど、ずっとよかったです。今公開中の映画だから、話の筋を書くことは出来ないけれど、「ただのパニック映画でしょ」と思いながら観に行った僕は、図らずも泣いてしまいました。

『ハリウッドに流れ込む、外国の人々』
 ちなみに、『ボルケーノ』(1997/アメリカ)の監督はイギリス出身、『フェイク』(1997/アメリカ)の監督もイギリス。ハリウッドって、今更ながら、世界のハリウッドなのね。
 一度、有名監督、俳優の出身を調べてみようかな。

1997年11月10日

はぁ〜、恋人かぁ。『恋人までの距離(BEFORE SUNRISE)』

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 恋の映画って、いっぱいありますよねぇ。愛じゃなくて、恋。僕自身がお子ちゃまだからか、愛の映画よりも、恋の映画の方が観たくなります。んで、恋の映画と言うと、ハイスクールだとか、そこら辺まで登場人物の年齢が下がってしまうものが多い(気がする)んだけど、20代の真ん中で、恋の映画と言うのもやっぱりあります。それが、『恋人までの距離(ディスタンス)』。

 20代の真ん中と言うと、そろそろ将来とか、仕事とか、結婚というものが目の前をちらついて、冒険が出来なくなったりします。だって、周りの同年代の中には、結婚して子供までいたりして、妙に焦ってしまったり。そんな時、恋の向こうに、「結婚」をちらちら見ながら、になるのかな、やっぱり。
 映画は、言ってしまえば「ナンパ」で知り合う二人の、一夜の恋の話です。でもね、なんていうのかな、もどかしいの、見ていて。ごく普通の会話、そのなかで相手の気持ちを探って、迷って。恋って、いつまでもこんなもんなのかな。う〜ん、なんて他人事モード(笑)
 二人が普段住んでいる場所の間には、大きな海が広がっています。それぞれに仕事があり、人間関係があり…付き合っていくには、どちらかの生活を変えないといけない。しかし…それは出来ない。でも…
 やがて、朝が来て、別れの時がきます。そして…
 主演のイーサン・ホーク、どっかで見たなぁ、と思ったら、良質の映画にたくさん出ている人でした。女の人の方は、ジュリー・デルピーというひとで、『トリコロール/白の愛』に出ている人。この映画は、三部作なんだけれど、まだどれも見ていません。この二人の会話、仕草がすごく自然で、いいんですよね。こっちがもどかしくなってくる。

 あ〜恋がしたい(笑)

イーサン・ホークの主な出演作品
『今を生きる』(1989/アメリカ)
『ホワイトファング』(1991/アメリカ)
『生きてこそ』(1993/アメリカ)
『リアリティ・バイツ』(1994/アメリカ)
『恋人までの距離』(1995/アメリカ)


『トリコロール/青の愛』(1993/フランス)
『トリコロール/白の愛』(1994/フランス、ポーランド)
『トリコロール/赤の愛』(1994/フランス、ポーランド、スイス)

『恋人までの距離』
(1995/アメリカ/一時間42分)
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
脚本:キム・クリザン

イーサン・ホーク
ジュリー・デルピー
エルニ・マンゴールド

1997年11月04日

なにはともあれ第一歩『フィフス・エレメント(THE FIFTH ELEMENT)』他

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えーさて。つれづれなるままに、うまく行けば日誌のごとく毎日、うまくいかなかったら、…たまにちょくちょく、映画のことで思うことを書いていきたいと思います。
しかしなんですねぇ、アクセスカウンタが100を数えました。信じられませんねぇ。一ヶ月で100というのは、多分少ない方だとは思うけど、嬉しいもんです。事実上、今まで売り物がリンクだけだったというのに。ありがたいことです。おぉ、いきなり映画に関係ない話をしてしまっている、戻さねば。

今、ハリウッドは才能不足だという話を聞きますが、ウソに聞こえないのが悲しい所。公開されてヒットする映画、よくみると監督がハリウッド出身じゃないことが多いんですね。この話は、この前何かの雑誌で読んだんだけれど。たとえば、 『男たちの挽歌』 を撮った ジョン・ウー 監督が、 ジョン・トラボルタ 主演で 『ブロークン・アロー』 を撮ったり、もうすぐ公開される、期待の 『フェイク』 を撮ったのはイギリスの監督だったり。
今上映されている 『フィフス・エレメント』 も、そんな映画の一つ。

監督は、フランス映画出身の、 リュック・ベッソン 様。「様」をつけていますが、僕にとってはそんな人なんです。僕がこの監督を初めて意識したのは、 『アトランティス』 という映画。この映画は、口で説明すると面白くも何ともないですが、海洋記録映画、とでも言いましょうか。だけど、この映画、お勧めです。心が洗われます。音楽は、ベッソン監督と息の合った所を毎回見せてくれる、 エリック・セラ 様。『フィフス・エレメント』でも、すばらしい音楽を作り出しています。
あ、 『ニキータ』『レオン』 の監督、と言った方が早いかな? 一般には、そうですね、『レオン』で人気が安定したのかな。ベッソン監督の作品は、どれも映像が美しい。「メイドインハリウッド」にはない、センスがあります。最近のハリウッド映画、ややもするとただ派手なだけ、やかましいだけ、と言うのが目立ってきているように思います。でも、ベッソン監督は違います。と、少なくとも僕は思っています。あと、音楽に助けられている、と言うのもやっぱりあるでしょうね。エリック・セラの音楽って、ちゃんとメロディがあってきれいなのに、画面の邪魔にならないと言う、最高のものなんです。

音楽について、僕には失敗におもえるのが、邦画の『誘拐』なんです。これ、前半はテンポがあって、ぐいぐいと話に引き込まれるし、後半も展開が面白く、悲しく、引き込まれるものがあるんですが。最後の最後、ラストシーン、音楽がやかましい! 邪魔なんですよね。本来、映画の音楽って、脇役に回って映画を助けるものだと思うんですが、このラストシーンでは、「音楽が感動を強要してくる」ように感じるんです。そうなると、観ているこっちは興醒め。もったいない。

『フィフス・エレメント』でも、その場面にあった、様々な音楽を聴くことが出来ます。すごいな、と思ったのは、(あんまり書くと、これから見る人の楽しみを奪ってしまうけど)CMでも流れている、あのオペラ。途中から、がらりと曲調が変わるんですよね。パンフレットには、オペラとヒップホップの融合、と書いてあったけど。これが、見事に映画を盛り上げてくれるの。ま、一度観てくださいな、聴いてくださいな。

映画自体も、ベッソン監督らしく、きれいな映像(衣装はゴルチエ。あ、ゴルチエだからすごいとか、そうじゃなくて、作品に合っていて、映像と喧嘩していない。たまにあるでしょ? 有名デザイナーの衣装ばかりが目立って、作品を壊してしまっているもの。有名漫画家のキャラデザインをゲームに使って、ぼろぼろのものが出来上がること)、楽しいストーリー展開。あ、もしかすると、ベッソンらしくない、と言う人もいるかもしれない。エンターテイメントに徹している所があるからね。でも、やっぱり、ベッソン映画なんだよね。なんていうのか、よくわかんないけど。
あ、微妙に危うい所でバランスをとっている気はします。一歩間違えば、収拾のついていない、ごった煮映画になったかもね。

ブルース・ウィリス って、冴えないオヤジをやらせたら世界一っですね。 ゲイリー・オールドマン もグー。この人の存在が大きかったですね。あと、コーネリアス神父役の人とか。リールーをやった女優さん、きれい、かわいい。いいですね。あ、そうだ、忘れならない、DJのルビー・ロッド! 彼に迫られるのは嫌だけど。こう考えると、配役も絶妙だったんだなぁ。

ともあれ、お勧めのエンターテイメント作品です。

リュック・ベッソン監督代表作品
『最後の戦い』(1983年/フランス)
『サブウェイ』(1984年/フランス)
『グレート・ブルー』(1988/フランス)
『グラン・ブルー グレート・ブルー完全版』(1988/フランス)
『ニキータ』(1990/フランス)
『アトランティス』(1991/フランス)
『レオン』(1994/アメリカ)
『レオン完全版』(1994/アメリカ、フランス)
『フィフス・エレメント』(1997/アメリカ、フランス)


『男たちの挽歌』(1987/香港)

『ブロークン・アロー』(1996/アメリカ)

『フェイク』(1997/アメリカ)

『誘拐』(1997/日本)


あ、ゴジラのテーマ曲、いいですよねぇ。そうそう、今ハリウッドで作っている、ハリウッド版『ゴジラ』楽しみだなぁ。

『フィフス・エレメント』

監督・原作 :リュック・ベッソン
脚本 :リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン
制作 :パトリス・ルドゥー
撮影 :ティエリー・アルボガスト
プロダクション・デザイナー :ダン・ヴェイル
編集 :シルヴィ・ランドラ
制作補 :イアン・スミス
視覚効果スーパーバイザー :マーク・ステットソン
衣装 :ジャンポール・ゴルチエ
音楽 :エリック・セラ

コーベン・ダラス :ブルース・ウィリス
ゾーグ :ゲイリー・オールドマン
リールー :ミラ・ジョヴォヴィッチ
コーネリアス :イアン・ホルム
ルビー・ロッド :クリス・タッカー
ビリー :リューク・ペリー
マンロー将軍 :ブライオン・ジェームズ
リンドバーグ大統領 :ティニー・リスターJr.
フォッグ :リー・エバンス
ライト・アーム :トリッキー

1997年/アメリカ・フランス合作
シネマスコープ
ドルビー・デジタル
上映時間 :2時間7分
字幕翻訳 :戸田奈津子

原作小説 :ソニーマガジンズ
配給 :日本ヘラルド映画
提供 :日本ビクター、日本テレビ放送網、三菱商事

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