シネマノート

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シネマノートへようこそ。シネマノートは、映画ネタの雑文や情報を書いております。映画に興味のある方、ちょろっと読んでいって、感想などくださいな。

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1999年11月08日

マトリックスコート欲しい。『マトリックス(THE MATRIX)』

関連カテゴリ: シネマ徒然

 えー、さて。
 前回の続きです。今回もネタバレを含みます。ごめんなさい。前回を読んでない方はバックナンバーからどうぞ。

■アクションが不自然? 非現実的?
 そう感じるのは、あなたが『マトリックス』に気づいていないからです。ネオが生きていたマトリックス世界そのものが非現実なのですから、そこで超人的ジャンプをしようが、銃の弾をよけようが、物理的に不自然なカンフーアクションを繰り広げようが不自然ではありません。マトリックス世界では(理屈では)現実世界での物理的束縛に縛られません。
 映画自体も、「マトリックス世界は作り物」という基本設定があるからこそ、漫画的アニメ的なアクションができるのです。映像としても、銃の弾道を見せたり、しつこいぐらいにスローモーションをつかえたり。
 逆に、現実世界の映像では一度もストップモーションなどは使われません。主人公達も極めて無力な人間として描かれています。

■スイッチが好き
 モーフィアスの仲間です。金髪のショートカットの女性。いや、男性? かわいくて、クールで、いいです。…女性だよね?

■ネオの成長
 そしてもちろん、ネオを演じるキアヌ・リーヴスの格好良さは言うまでもなく、ですね。ネオはトリニティーに導かれ、成長しました。キアヌ本人もまた、この作品で成長したのかな?(映画ではシャープに引き締まった肉体になってましたが、今はまた太り始めているようで。…心配だ)

■必要性
 さて。ビルに突入するネオとトリニティーは、超人的なアクションで警備員を次々に殺していきます。華麗なアクションで、とても綺麗な映像で魅せてくれます。…ちょっとまて、警備員達は悪人なの? 殺す必要があるの? 彼らもまた、“マトリックス”の犠牲者じゃないの?

■パクリパクリパクリ
 いや、パクリというか。監督のウォシャウスキー兄弟も認めてることだけどさ。押井守監督の『攻殻機動隊』にそっくりなシーンが続出です。でも、怒りとかはないんですよね。だって、すべてが虚構のアニメ世界を完璧に実写映像として再現しているんですもの。

 あ〜、まだ続きます。次回へ。

THE MATRIX
日本語版公式サイト。
 

 
脚本/監督/製作総指揮:ラリー&アンディー・ウォシャウスキー
撮影:ビル・ポープ
作曲/演奏/指揮:ドン・デイビス
美術:オーウィン・バタソン
衣装:キム・バリット
編集:ザック・ステインバーグ
制作:ジョエル・シルバー
共同製作:ダン・クラッチョロ
製作総指揮:アンドルー・メイソン
製作総指揮:ブルース・バーマン
製作総指揮:バリー・M・オズボーン

おいおい、製作総指揮が多すぎないかい?
 

 
カンフー・コレオグラファー:ユアン・ウーピン
彼が一番すごいと思う!

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1999年11月03日

なぜ気づかない『マトリックス(THE MATRIX)』

関連カテゴリ: シネマ徒然

 だからスターウォーズよりもね…あ、前の記事から1ヶ月以上たってしまった。ほんとは翌日にでも続きを書く予定だったんだけど、翌日から怒濤のような忙しさで死んでました。というわけで9月16日の続きです。なお、9月16日分を読んでない人はバックナンバーから読んでから以下を読んでもらえると嬉しいです。
 それと、今回は多分にネタバレを含みます。『マトリックス』をまだ観ていない人は、観てから読みましょう。
 さらに、今回は言いたいことがあまりに多くて整理できないので、いつもとは書き方変えます。
 
■まずはSFX
 これはもうあちこちで言われているが。とにかく凄い! いや、凄いの。凄いんだって(なんてボキャブラリーの少ない…)。ドタマをかち割ったろかってぐらすごい。
 ハリウッドの大がかりな特撮技術、コンピュータ合成や香港映画のワイヤーアクション、それらが隙間無く組み合わされ、今までに見たことのない映像世界が展開される。

■ワイヤーアクション
 ほとんどを役者本人が演じているという。ハリウッドでは異例の、4ヶ月というアクション訓練を経て。壁を使った空中回転も本人。

■それにカメラワーク
 映画終盤。追われるネオが鉄サビだらけの階段を駆け上がる。カメラは追っ手の目線から一気にネオへと距離を縮め近づく。そこで、ただ直線的にズームアップするのではなく、ネオの直前で“グゥインッ”と彼の顔に回り込み追いつめられる表情を伝える。
 ビルに突入。激しいBGMに合わせ、スローモーションを執拗に繰り返す。スローなのに激しい。
 中盤。上空のヘリからビルにガトリングをぶっ放すネオ。地面に落下する薬莢を下から撮し、スローモーション。きらめく薬莢。美しい。
 どんな些細なシーンにも作り手の情熱を感じて、好きです。

■逆転の構図
 全体の構図として面白いと思ったこと。
 冒頭、キアヌ演ずるアンダーソンは夢から覚める。しかし、彼は妙な感覚、“起きてもまだ夢を見ているような感覚”を感じていた。やがて彼は、白ウサギに導かれ、夢から覚める。夢から覚めたアンダーソンに待っていたのは、悪夢のような現実だった。
「夢オチ」というものがある。我々は悪夢から覚めれば、いつもと変わらない穏やかな現実に「ああ良かった」と胸を撫で下ろす。だが、『マトリックス』ではその中身がそっくり入れ替わってしまっている。

■トリニティーの美しさ
 マトリックス世界のトリニティーは強く毅然とたくましく、アンダーソンを導く。真実の世界では母性でネオを包み、支える。あぁ、こんなおねぇさん欲しい…。

■デザイン
 今までの、ヒットした近未来SFは、(大雑把に言って)2つのタイプがあった。一つは、現在の科学が正常進化した明るい未来世界。色で言えば白とかシルバーとか、クリーンな先進的イメージ。もう一つは、『ブレードランナー』から続く、色で言えばブルーとグレー、それに“濁った極彩色”を基調にした廃退的な世界。
 さて、『マトリックス』だが、廃退的。そこは『ブレードランナー』的。だけども、色。それは黒。すべてが黒。もしくはグレー。衣装はシックでハードでスタイリッシュ。メカデザインでいうと、かなりグロテスク。例えればメカニカルな『エイリアン』? でも違う。新しい世界観を作り出したのかも知れない。
 
 あ。長くなったので続きは次回。ん、ほめてばっかり? 次回は辛口かも。

『マトリックス』(1999年/アメリカ)
原題:THE MATRIX
上映時間:2時間16分、7巻、3726m
シネマスコープサイズ SRD/SDDS/DTS
字幕翻訳:林完治
オリジナル・サントラ盤:ワーナーミュージック・ジャパン
スコア盤 カルチュア・パブリッシャーズ
配給:ワーナー・ブラザーズ映画
 

 
THE MATRIX
日本語版公式サイト。とても充実。
 

 
キアヌ君の主演作で似たような映画に『JM』(1995年/アメリカ)があります。その出来は…。
 

 
SF映画が、『ブレードランナー』の呪縛から逃れることは出来るのか。
 

 
“マトリックス・コート”欲しいなぁ。ほんまに、かなり欲しい。すごく欲しい。